この記事の要点

海外店舗の設計・施工会社は、似た案件の実績、担当する業務の範囲、現地の確認体制、見積もりの明細、変更時の承認方法、引渡し後の対応で比較します。「一括対応」という言葉だけでなく、各工程の責任者を確認しましょう。

施工実績の写真から、もう一歩踏み込んで聞く

魅力的な完成写真は、設計会社を知る入り口になります。ただし、海外案件では、どの部分を担当した実績なのかを確認することが重要です。基本デザインのみか、実施設計までか、現地の施工管理や検査対応まで含むかで、依頼できる内容は変わります。

候補会社には、自店に近い国・業態・規模の案件を挙げてもらい、現地で誰と組み、どのように意思決定したかを聞きます。都市が同じでも、路面店と商業施設では条件が違います。「海外実績がある」という一言を、具体的な進め方に置き換えて確認しましょう。

見積もりの前に、担当範囲を一枚にする

工程確認する役割
現地調査誰が計測し、設備条件を確かめるか
図面作成意匠・設備・現地提出図面を誰が用意するか
申請・承認建物側や行政への確認を誰が担当するか
調達・工事材料選定、輸送、搬入、施工、品質確認の担当
引渡し検査、修正、資料受領、保守の窓口

担当が決まっていない項目は、別会社を探す必要があるのか、見積もりの追加対象なのかを確認します。通訳や出張費も含め、「対応できる」と「契約に含まれる」を区別してください。

Speak Low(Shanghaiの店舗空間
掲載事例:Speak Low / Shanghai|engineの設計事例。本文の一般的な確認事項と、個別案件の契約・工事条件は異なります。

同じ条件で見積もりを依頼する

比較のためには、各社へ同じ物件情報、図面、希望仕様、開業予定を渡します。現地調査前の概算と、詳細設計後の見積もりを同列に比べないことも大切です。金額が変わる前提や、現時点で確定していない範囲を記載してもらいましょう。

材料や設備は、品名だけでなく性能、寸法、仕上げ、数量を確認します。指定品が入手できない場合の代替候補と、その承認手順を決めておくと、現場の独断による変更を防ぎやすくなります。

工事中の変更は、金額と日程を一緒に残す

現場では、既存設備の状態や材料の納期により変更が必要になることがあります。変更そのものを避けるより、誰が提案し、誰が費用と日程を確認し、誰が承認するのかを決めておくことが重要です。口頭での依頼だけで工事が進まないようにします。

週ごとの報告には、進捗写真、未決事項、承認待ち、追加費用、翌週の予定をまとめます。写真の撮影場所と日付をそろえると、現地へ行けない担当者も比較しやすくなります。複数の連絡手段を使う場合も、最終決定は一つの記録に集めます。

引渡し後に困らないための確認

引渡しでは、見た目の仕上がりだけでなく、設備を実際に動かして確かめます。修正箇所は写真と期限を付けて一覧にし、完了を誰が確認するかを決めます。設備資料、仕上げ材料の情報、変更を反映した図面、保守連絡先の受領も確認項目です。

保証や修理対応は、期間だけでなく対象、除外条件、現地対応の方法を尋ねます。engineを含め、候補会社には同じ確認表で質問することをおすすめします。担当範囲が明確で、説明と記録がそろうかが、長く付き合える相手を選ぶ手がかりになります。

よくある質問

日本の設計会社と現地会社、どちらに頼むべきですか?

店の世界観を共有する力と、現地の調査・施工・制度確認を進める力の両方が必要です。一社か複数社かより、それぞれの役割と連絡の責任者が明確かで比較しましょう。

最も安い見積もりを選んでもよいですか?

必要な仕様と作業範囲がそろっているかを先に確認します。除外項目や未確定条件が多い場合は、追加費用を含めて比較しないと判断できません。

参考情報・掲載写真

情報確認日:2026年9月28日。各国の制度や条件は変更される場合があります。具体的な営業内容・所在地に合わせ、現地の担当機関や専門家へ確認してください。

制作:engine JOURNAL