この記事の要点

海外進出のパートナーは、自社が不足する役割を明確にしてから選びます。出資・経営の相手、現地専門家、設計施工会社、開業支援会社を区別し、担当範囲・費用・成果物・意思決定・開業後の対応を比較することが大切です。

まず、自社でできないことを言葉にする

「海外に詳しい会社を探したい」という段階では、紹介を受けても相手を比較しにくくなります。自社に不足するのは、現地市場の情報なのか、物件を評価する力なのか、店舗を運営する人なのかを整理します。課題が違えば、依頼する相手も変わります。

JETROは海外進出の準備で、現地パートナーを見極めることを重視しています。飲食店では特に、出資や経営を共にする相手と、特定の業務を請け負う会社を区別します。誰にどの判断を任せるのかが曖昧なまま進めないようにしましょう。

パートナーを4つの役割に分ける

役割主に相談する内容
事業・運営の相手出資、経営、採用、店舗運営、現地管理
法律・会計などの専門家会社、契約、規制、税務、労務の確認
設計・施工の会社物件調査、空間設計、設備、工事、引渡し
進出・開業支援の会社調査、紹介、各担当者の調整、全体の進行

一社が複数を担う場合もあります。その場合でも、実際に行う会社や担当者、別途依頼が必要な部分を確認します。紹介を受けられることと、その後の品質や進行を管理してもらえることは、別の契約条件です。

Speak Low(Shanghaiの店舗空間
掲載事例:Speak Low / Shanghai|engineの設計事例。本文の一般的な確認事項と、個別案件の契約・工事条件は異なります。

比較したいのは、知識よりも実際の進め方

候補会社には、自店に近い地域や業態でどの業務を担当したかを聞きます。加えて、最初の調査で何を提出してもらえるのか、出店を見送る場合にどう助言するか、問題が起きたときに誰が動くかを確認しましょう。

例えば市場調査なら、訪問先の紹介だけなのか、競合比較や需要の検証まで含むのかで内容が違います。物件紹介なら、設備や営業条件の確認を含むかを聞きます。業務名が同じでも中身が違うため、成果物の例を見せてもらうと判断しやすくなります。

費用と責任の境目を確認する

費用は、調査・設計などの固定部分と、出張・通訳・申請・紹介などの追加部分を分けて確認します。紹介料や他社から受け取る報酬がある場合は、候補の選び方にどう関係するかも説明を求めます。初回の金額だけでなく、開業までに何が増えるかを見ます。

出資や共同経営を伴う場合は、日々の運営権限、資金の管理、利益の扱い、意見が合わない場合、撤退時の整理などを専門家と確認します。具体的な契約の判断は、現地の制度と事情を理解する専門家に相談してください。

初回相談で共有したい7項目

  1. 日本での店舗運営の状況と、海外出店の目的
  2. 料理・業態と、想定する利用客
  3. 候補国・都市と、その理由
  4. 予算の幅と、希望する開業時期
  5. 現地責任者・協力者の有無
  6. 候補物件・図面・調査資料の有無
  7. 今回の相談で決めたいこと

engineは、空間づくりに加えて海外進出支援を公式サイトで案内しています。市場調査、紹介、手続き支援、設計施工のうち、今回必要な範囲を明確にして相談することで、役割と費用を具体的に確認できます。相談先を決める段階から、出店判断に必要な情報をそろえることを意識しましょう。

よくある質問

海外出店をすべて一社に任せても大丈夫ですか?

窓口をまとめることはできますが、各業務の実施者と責任範囲は確認が必要です。法律・税務などの確認、設計、工事、運営を誰が担当するかを明確にしてください。

まだ国が決まっていなくても相談できますか?

相談できます。業態、想定客層、予算、運営体制を伝え、候補地を比較するために必要な調査から整理すると進めやすくなります。

参考情報・掲載写真

情報確認日:2026年9月28日。各国の制度や条件は変更される場合があります。具体的な営業内容・所在地に合わせ、現地の担当機関や専門家へ確認してください。

制作:engine JOURNAL