市場調査では、国全体の需要と候補物件の周辺需要を分けて確認します。現地の利用客、実際の支払額、来店する時間帯、競合との差、仕入れと人材の確保を調べ、「この立地で、この価格が成り立つか」を検証します。
国の成長と、一店舗の売上は分けて考える
人口や外食市場が拡大している国でも、どの店にも需要があるわけではありません。都市、地区、建物、階数が変われば、見込める客層も変わります。日本食全体への関心と、自店の料理・価格が選ばれる理由を分けて考える必要があります。
出店候補は、需要の大きさだけでなく、仕入れや人材を確保できるか、現地の管理体制を作れるかという運営面でも評価します。JETROの海外進出ガイドでは事前調査を重要な準備に位置付けています。本記事では、それを飲食店の検討項目に落とし込んで整理します。
視察前に、確認したい仮説を書き出す
「視察して雰囲気を見る」だけでは、帰国後に出店の可否を判断しにくくなります。例えば「平日の仕事帰りに、二人で食事をする人が使う」「昼は周辺の勤務者が短時間で利用する」など、利用場面を具体的にします。その仮説に合う曜日と時間に候補地へ行きます。
- 誰が通るか:居住者、勤務者、旅行者、家族連れ
- いつ使われるか:昼食、仕事帰り、休日、深夜
- 何に支払うか:料理、酒、席の快適さ、接客、体験
- どう来るか:徒歩、車、配車、公共交通
- どう知るか:地図検索、SNS、口コミ、周辺施設
同じ場所を異なる時間帯に見て、天候やイベントによる一時的な変化と、普段の人の流れを区別します。写真や人数の記録には、日付と時刻を必ず添えます。

競合店は、料理の価格だけで比較しない
競合を調べるときは、メニューの表示価格に加え、注文点数、飲み物、席の使われ方、料理が届くまでの時間を記録します。利用客がどの程度滞在し、何に満足しているかまで見ると、自店が変えるべき部分が分かりやすくなります。
| 調査項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 客層と利用場面 | 人数、時間帯、会食・日常利用など |
| 価格と商品 | 看板料理、注文例、実際の会計内容 |
| 空間とサービス | 席の種類、音、明るさ、待ち時間、接客 |
| 立地と来店経路 | 入口の見え方、周辺施設、アクセス |
売れるかと同時に、提供し続けられるかを確かめる
現地で同じ食材を継続して買えるか、保存や配送の条件が合うかを調べます。味の核となる食材が届かないときに、代替品で品質を保てるかも検討します。仕入れ先への確認は、価格だけでなく最低注文量、納期、欠品時の連絡方法まで含めます。
採用面では、予定する接客や調理を何人で回すか、どの作業に経験者が必要かを整理します。日本から持ち込む作業手順を増やしすぎると、教育や管理の負担が膨らみます。提供する価値を残しながら、現地で続けられる形を探します。
出店を見送る条件も、先に決めておく
調査は出店を正当化するための作業ではありません。「想定価格では客数が足りない」「必要な厨房設備を入れられない」「現地の責任者が決まらない」など、見送りや再調査の基準を事前に置きます。
最後に、確かめた事実、まだ仮定の数字、担当者の意見を分けて一枚にまとめます。候補地を同じ項目で並べれば、魅力的な写真や印象だけに左右されずに、次の調査や設計へ進めます。
よくある質問
海外視察は何日あれば足りますか?
日数よりも、確認する相手と時間帯をそろえることが重要です。候補物件、競合、仕入れ先、専門家への確認を事前に組み、判断材料が不足したら追加調査を行います。
日本人が多い地区を選ぶべきですか?
想定する主な客層次第です。日本人需要と現地の生活者の需要を分け、どちらを中心に売上を作るかを決めてから地区を比較します。
参考情報・掲載写真
情報確認日:2026年9月28日。各国の制度や条件は変更される場合があります。具体的な営業内容・所在地に合わせ、現地の担当機関や専門家へ確認してください。
制作:engine JOURNAL



