海外飲食店の開業予算は、物件取得・設計施工・設備備品・開業準備・開業後の運転資金に分けて作ります。国や物件が未定の段階で一律の坪単価を当てはめず、現地通貨での見積もりと支払時期をそろえて比較しましょう。
「店をつくるお金」と「営業を続けるお金」を分ける
飲食店の出店計画で目に入りやすいのは、内装と厨房の見積もりです。しかし、工事が始まるまでの調査や手続き、開業前の家賃と採用費、営業開始後の支払いも必要です。工事費だけで予算を使い切ると、売上が計画に届くまでの期間に対応しにくくなります。
予算表は、初期費用と毎月の支出を別の表にして作ります。初期費用には支払日、毎月の支出には発生し始める月を入れます。借入や出資の予定がある場合も、金額だけでなく実際に使える時期を照らし合わせます。
見積もりに入れたい5つの費用
| 区分 | 主な確認項目 |
|---|---|
| 物件・準備 | 保証金、前払い家賃、調査、契約確認、翻訳 |
| 設計・施工 | 設計、設備調査、現地確認、工事、追加変更 |
| 設備・備品 | 厨房機器、家具、照明、食器、レジ、輸送・据付 |
| 開業準備 | 各種手続き、採用、研修、試作、撮影、告知 |
| 開業後 | 家賃、人件費、仕入れ、水道光熱、保守、予備費 |
これは予算を整理するための項目例です。必要な手続きや費用の名称は出店先で異なります。物件側の既存設備を使える場合も、修理や交換が誰の負担かを確認し、ゼロ円と決めつけないようにします。

見積もりの差は「含まれないもの」に出る
同じ図面を渡したつもりでも、厨房機器の接続、夜間作業、現場管理、廃材処分、検査対応などの扱いが違うと、見積額は比較できません。項目名、数量、仕様、含む作業、除外する作業をそろえ、各社の条件を一覧にします。
輸入品は本体価格と現地で使える状態になるまでの費用を分けます。梱包、運送、保険、通関、保管、現場への搬入、設置のどこまでが含まれるかを確認しましょう。故障時に現地で直せるかも、採用を決める際の条件になります。
売上が遅れた場合も計算する
資金計画は、通常の見込みだけでなく、開業が遅れる場合と、売上が低く始まる場合も作ります。例えば毎月の固定支出を仮に200万円相当と置けば、営業開始が1か月遅れただけでも、その月に発生する支出を別途考える必要があります。この金額は計算方法を示す仮定で、現地相場ではありません。
計画売上は「席数×利用回数×客単価」など、見直せる式に分解します。昼と夜、平日と休日を分けると、どの条件に頼っているかが見えます。売上に連動する食材費と、売上がなくても発生する費用も分け、手元資金が最も少なくなる時点を確認します。
削る順番を決めてから、設計を進める
予算を調整するときは、店の体験に直結する部分、営業を支える部分、後から追加できる部分に分けます。照明の見せ場やカウンターは残しつつ、後から増設できる装飾を減らすなど、店の狙いに沿って判断します。排気や安全に関わる設備を、見た目に出ないからという理由で削らないことが大切です。
設計会社に相談するときは、総予算と工事に使える予算の両方を共有します。現地通貨、換算日、見積もり有効期限、支払い条件をそろえれば、金額変更の理由を追いやすくなります。
よくある質問
海外の内装費は日本より安いですか?
一概には言えません。現地の人件費だけでなく、設備条件、輸入品、施工品質、運送や現場管理の範囲で変わります。同じ仕様と作業範囲で見積もりを比べてください。
予備費は何%用意すればよいですか?
物件の調査状況や輸入品の割合などで必要額は変わります。一律の比率だけで決めず、追加工事・遅延・為替変動を項目ごとに想定して積み上げます。
参考情報・掲載写真
情報確認日:2026年9月28日。各国の制度や条件は変更される場合があります。具体的な営業内容・所在地に合わせ、現地の担当機関や専門家へ確認してください。
制作:engine JOURNAL


